kintoneで顧客管理(CRM)アプリを構築するメリットと作り方~開発事例もご紹介~

2024年03月11日

Excelや他のCRMツール、自社開発したシステムと比べ、kintone(キントーン)で顧客管理アプリを構築することには多くのメリットがあります。本記事では、メリットだけでなく以下についても分かりやすくご紹介します。

  • kintoneを使った顧客管理アプリの開発例
  • 使いやすい顧客管理アプリをスムーズに構築するためのコツ
  • kintoneで顧客管理アプリを作る方法と手順

目次

顧客管理(CRM)アプリをkintoneで構築するメリット ― Excel・CRM・自社構築とも比較

顧客管理をExcelや他のCRMツール、自社開発したシステムで行う場合、以下の表のようなデメリットがあります。ここではそれぞれの方法と比較してkintoneで顧客管理アプリを構築するメリットについてご紹介します。

Excelで顧客管理をする場合
  • 情報が複数ファイルに分散しがち
  • 最新情報が誰のファイルに入っているのかわからない
  • 社外から確認できない
  • 機能や情報の追加が難しい
他のCRMツールを使う場合
  • 他の種類のシステムは別途契約する必要がある
  • 機能や情報の項目が自社に合わない
自社開発のシステムの場合
  • 自社で1から開発するため時間とコストが多くかかりがち

メリット1.顧客情報の一元管理が可能【vs Excel】

Excelで顧客情報を管理している場合、顧客の名刺情報や案件情報ファイルがいつの間にか散乱してしまい、目当ての顧客情報を探すのに時間がかかってしまうことがあります。

kintoneで顧客管理をする場合は一つのアプリに顧客情報を集約することができるため、情報の検索がしやすく、すぐに目当ての顧客情報をひきだすことができます。
さらに案件や商談などの管理もkintoneで行う場合は、顧客情報と紐づけることで顧客の全体像を把握しやすくなります。

メリット2.顧客情報を常に最新の状態に保てる【vs Excel】

Excelで顧客情報を管理している場合、メリット1でも記載した通り、顧客情報が散乱していると常に最新の状態に保ちづらく、情報の整合性が取れない場合も出てきます。

kintoneを使用する場合は顧客情報の一元管理ができるため、常に最新の情報にすることができます。またクラウド型のツールのため、最新の状態を社内・チーム内で共有することもできます。

メリット3.社外からも顧客情報を確認できる【vs Excel・自社開発】

Excelで顧客情報を管理している場合、該当のファイルが入っているパソコンを持っていかないと社外では確認できません。またクラウド型ではない自社開発システムも同様です。

その点、kintoneはクラウド型ツールのため、kintoneで開発した顧客管理アプリであれば社外にいる場合も、わざわざ会社に戻らずとも顧客情報を確認できるようになり、業務の効率化を実現します。

メリット4.管理する顧客情報を自由に選択でき、追加や削減も容易【vs その他CRM・自社開発】

従来のCRMツールでは、管理する情報の項目が決められている場合が多く、自社開発システムにおいては機能の追加や削減はその都度開発が必要となりコストがかかってしまいます。

kintoneで顧客管理アプリを構築する場合は、管理したい顧客情報を自由に設定できて追加や削減も簡単にできます。本当は管理したかったけど、できていない顧客情報を容易に入れることが可能になります。

メリット5.情報の見える化も容易【vs Excel・自社開発】

Excelで管理する場合、見える化できずに属人化につながることが多々あります。また自社開発システムの場合、情報を有効活用できるよう見える化するにあたって開発難易度やコストも大きくなりがちです。

kintoneなら顧客情報はもちろん、案件の進捗や顧客の過去の経緯などを一元化してメンバー間で見える化することもできるので、情報の属人化を防いだり、担当者間の業務負担の偏りを防いだりすることに役立ちます。

メリット6.低コストかつ簡単に顧客管理以外のアプリとも連携可能【vs その他CRM・自社開発】

kintoneで構築可能なアプリは顧客管理だけではありません。在庫管理やプロセス管理、売上販売管理など多岐にわたります。もちろんkintoneを使用しているため異なる種類のアプリであっても連携することが可能です。

他CRMを個別に複数導入したり、SIer(システムインテグレーター)などに依頼して1からシステムを作るよりも大きくコストを抑えられることができます。

【実績多数】kintoneで作った顧客管理ツールの事例2選

ぐーどろではこれまでにkintoneを使用して顧客管理アプリを構築してきました。ここでは、代表的な顧客管理アプリの開発事例をご紹介します。

事例1:卸売業のお客様の顧客管理アプリ

開発内容
業種 卸売業
実装機能概要
  • BtoC、BtoBの顧客情報管理
  • 新規かリピートかの属性管理
  • 来店や電話、メールなど流入元を管理
開発費用(目安) 30万円
こだわったポイント
  • 顧客登録→商談登録の運用フローのため、顧客管理アプリから顧客情報をコピーして商談を登録できるよう、商談登録のアクションボタンを設置しました。
  • 月ごとに顧客登録数や属性、流入元をグラフ化することで情報を見える化しました。
  • 顧客情報アプリと商談履歴アプリや見積管理アプリを関連レコードで紐づけることにより、顧客データに紐づくデータに簡単にアクセスできるようにしました。

事例2:IT・WEB業のお客様の顧客管理アプリ

開発内容
業種 IT・WEB業
実装機能概要 基本的な顧客管理機能とそれと連携したお問い合わせアプリ機能の実装
開発費用(目安) 30万円
こだわったポイント 誰が顧客情報を登録しても統一された内容が反映されるよう、きれいで分かりやすい、使いやすい仕様を心がけました。追い連絡のしやすさもポイントです。

kintoneでスムーズに&使いやすい顧客管理アプリを構築する3つのコツ

ここでは、kintoneで顧客管理アプリを構築するにあたって必要な準備やおすすめの仕様、プラグイン(拡張機能)など成功のコツをご紹介します。

その1.【事前準備】アプリで管理する情報を精査してリスト化

顧客管理アプリに盛り込む情報を精査してリスト化します。項目を追加して膨れ上がってしまった顧客管理アプリは入力しにくくなり、使ってもらえないアプリとなってしまう可能性があります。そこで、最初は分かりやすいシンプルなアプリにすることを目標に、アプリに入れ込む情報の範囲を決めて項目を精査します。kintoneなら項目の追加もある程度容易にできるため、まずは基本的な項目から始めます。

例えば、ある程度どの顧客においても共通して入れるべき項目を優先的に、他のメンバー含め、普段の業務で探すのに時間がかる情報もまとめることで活用しやすくなります。

その2.【おすすめ仕様】顧客側の担当者情報は別アプリで管理&ルックアップ機能の活用

1つの顧客に対して複数名の担当者がいる場合には、顧客側の担当者情報を別のアプリで管理しましょう。もし全ての担当者情報を顧客管理アプリだけで管理すると、使い勝手や見栄えのあまりよくないアプリとなってしまいます。

またその際、担当者と顧客情報の紐づけにルックアップ機能を使います。別のアプリに登録されている情報を呼び出す機能であるルックアップを使うことで、一覧から該当する情報を選択することや、その他の必要情報を一括でコピーができるようになります。この機能を使うことで、同じ情報を何度も手入力する手間や、手入力することにより発生する入力ミスや入力漏れを防ぐことができます。

その3.【おすすめプラグイン】検索プラグインを導入して絞り込み検索を実装

顧客情報が増えてきて、顧客の一覧検索を簡単にしたいという場合には、検索プラグインを導入して絞り込み検索を実装します。検索プラグインを導入すれば、アプリの詳細画面上部に検索項目を表示させることができるようになります。

「会社名」「担当者名」「都道府県」「製品ジャンル」など、最大6つまで配置できますので、検索までのステップを減らして探したい情報を絞り込めるようになります。検索プラグインについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

kintoneで顧客管理アプリを構築する3つの方法|手順の全体像も解説

kintoneを使った顧客管理アプリの構築方法には、大きく分けて3つあります。ここでは、3つの方法とそれぞれどのような流れで構築するかイメージしていただくために、手順の全体像についても解説していきます。

構築方法その1:kintoneの基本機能を使って自分で構築する方法

kintoneで顧客管理アプリを構築するためには、以下の3つの設定が必要になります。

  • スペース:アプリを入れるための箱。管理する部署ごとにスペースを設けることが多い
  • アプリ:スペースの中に構築する顧客管理アプリそのもの
  • フィールド:アプリ内に配置していくパーツ。『顧客名』や『住所』などの顧客情報の項目

ここでは、上記の設定について、大まかな流れを【①~⑤】の順番で簡潔にまとめます。

①スペースの作成

まず部署やチームごとにアプリを入れておく箱としてスペースを作成します。

②アプリの作成

次に右側にある「アプリ」の+(プラス)ボタンをクリックし、「はじめから作成」を選択してアプリを作成します。

③フィールドをドラッグ&ドロップ

続いて作成画面に「文字列」や「数値」などのフィールドが用意されていますので、既定の場所に入れ込みたいフィールドをドラッグ&ドロップします。

既存の顧客管理をExcelで行っている場合は、そのExcelと同じ項目を配置していくと分かりやすいかもしれません。

④フィールドの名称や初期値の設定

続いて配置したフィールドにカーソルを合わせ、歯車アイコンにある「設定」からフィールドの名称や初期値を設定し、保存をしていきます。

⑤アプリの公開

必要な項目の配置が完了したら最後にアプリの公開をすることで、メンバーがアプリに情報を登録できるようになります。なお、アプリ内の項目の変更はアプリ右上にある歯車アイコンから、作成時と同じ方法で変更することができます。

構築方法その2:サンプルアプリを使って自分で構築する方法

kintoneには、さまざまな業務に使うことができるサンプルアプリが用意されています。サンプルアプリとはアプリのひな型であり、そのまま使うのでも、デザインや設定を変更して使うのでも可能です。このサンプルアプリは、kintone内のアプリストアや「サンプルアプリページ」で確認できます。

サンプルアプリを追加するには、kintoneのトップページに表示されている「アプリ」エリアの右横にある「アプリを作成する」アイコンをクリックします。そうすると、アプリストアが開きますので左パネルや「おすすめのアプリ」欄から用途にあったアプリを選び、アプリ名をクリックして詳細を確認します。

そのアプリを利用することを決めたら、詳細画面で[このアプリを追加]または[このアプリパックを追加]をクリックします。次に[追加]をクリックしたら、アプリが追加されます。

Point.アプリパックの追加も考える

kintoneには、関連性のある複数のアプリをまとめて一度に追加できるアプリパックも用意されています。たとえば営業支援パックを例にとると、「顧客管理」「案件管理」「活動履歴」という3つのアプリで構成されていて、顧客や案件、商談を一元管理できるという営業活動に便利なアプリパックになっています。

構築方法その3:開発会社にアプリ開発を外注する方法

kintoneの顧客管理アプリを自分で開発したりサンプルアプリを追加したりするのではなく、外部の開発業者に依頼する方法もあります。外注することで、社内のリソースを節約でき業務の効率化が図れるだけでなく、自社の仕様に合致している高品質な顧客管理アプリの開発が実現します。

ただ、アプリ開発を外注することでコストが発生するようになるだけでなく、開発の納期など、外注先との調整が必要になる場面もあります。そのため、パートナー選びや契約内容の確認などは慎重に行う必要があります。

こんな機能は実装できる?kintoneの顧客管理アプリQ&A

kintoneで顧客情報に紐づいた見積書・納品書・請求書の印刷は可能?

kintoneには、対外帳票を作成し、出力する機能はありません。
そこで、kintoneと連携できる帳票ツールを別途利用します。その上で帳票テンプレートを登録してkintoneと印字データを連携することで、印刷機能を利用することができます。

顧客情報に販売した車の情報を紐づけて、車検が必要な顧客を探し出すことはできる?

はい、kintoneで可能です。顧客管理アプリに紐づけた自動車販売情報アプリ(販売した自動車の情報をマスタ化したアプリ)をkintoneで作成し、その自動車販売情報アプリで前回車検日あるいは初期登録日を管理することで、条件に該当する車や顧客を探し出すことができます。

新Ver.のPCソフトを案内したいので、旧Ver.を購入した顧客リストの作成はできる?

はい、kintoneで可能です。出荷アプリや請求アプリなどのお客様への納品状況を管理できるkintoneアプリに、販売情報とソフトのバージョン情報を連携することで、該当のお客様への一括案内用のリストなどを簡単に作成することができます。

製品購入して3ヶ月が経過するお客様に対してフォローするために、経過前に通知をもらうことはできる?

はい、kintoneで可能です。担当営業の方、一人一人にkintoneのアカウントが存在することが前提となりますが、kintoneでは、 購入日から3ヶ月後の日付を算出することが可能で、ある条件に一致した日付になった際に特定のアカウントに通知を送ることも可能です。
これらの機能を組み合わせることで、購入して3ヶ月が経過するお客様に対して、その1週間前に担当営業に通知を飛ばすことが可能です。

この記事のまとめ

顧客管理(CRM)ツールを簡単・便利に作成でき、従来のCRMツールや自社開発システムと比較して導入コストを大幅に抑えることができるkintone。IT部門を持たない中小規模の企業にとって、特にメリットが多いツールとなっています。ただ、うまく活用していくためには、kintone導入の目的を明確にしておくことが重要であり、必要に応じて導入支援サービスを利用することも検討してみてはいかがでしょうか。

「ぐーどろ」ではkintoneの導入支援や開発はもちろん、プラグイン開発や定着支援なども行っており、「かゆいところに手が届く」きめ細やかで分かりやすいサポートで、お客様に伴走いたします。是非お気軽にご相談ください。

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