2026年08月21日
災害時のボランティアセンター開設状況をWEBサイトに自動公開する仕組みを開発。kintoneとWordpress(WEBサイト)を連携し、迅速な情報発信を実現

山梨県社会福祉協議会では、災害時に各市町村にある社会福祉協議会(以下、市町村社協)と連携し、災害ボランティアセンターの設置状況や被害情報を迅速に共有・発信する仕組みとして、kintoneを活用したシステムを構築した。
今回のプロジェクトでは、山梨県を基盤とするWeb制作会社である株式会社マニュアルズがWebサイトを構築し、ぐーどろはkintoneとWebサイトを連携するシステム連携部分を開発。市町村社協がkintoneへ入力した情報をWebサイトへ自動反映し、地図とともにリアルタイムで発信できる仕組みを実現した。
今回は、担当の根津様にシステム導入の背景や開発時のポイントについて伺った。
◆導入前の課題や背景
災害時の情報発信、ボランティアの誘導を迅速に行うため、市町村社協と県社協が共通で利用できる仕組みと、Webサイトへのリアルタイムな情報反映が求められていた
◆導入の決め手
(1)既存のkintoneを活用しながらWebサイトとデータ連携できること
(2)システムに不慣れな職員でも操作しやすく、災害時に迅速な情報更新ができる運用を実現できること
◆導入後に得られた効果
kintoneへ入力した情報がWebサイトに自動で反映されることで、職員の負担軽減と情報共有、現場に支援が届くことの迅速化が期待される
地域福祉を支え、災害時には広域調整を担う山梨県社会福祉協議会
山梨県社会福祉協議会は、「誰もが安心して暮らせる地域共生社会」の実現を目指し、地域福祉の推進を担う団体である。県内の市町村社協や福祉施設・行政・NPO・企業などと連携し、多様な関係機関をつなぐハブとしての役割を果たしながら、生活困窮者支援や福祉人材の育成といった幅広い事業を行っている。
災害時には、市町村社協が設置する災害ボランティアセンターや、福祉専門職で構成されるDWAT(災害派遣福祉チーム)の後方支援・広域調整を担当する。一般のボランティアだけでは対応が難しいニーズに対し、行政や民間団体、専門職団体などと連携しながら、被災者支援を円滑に進める重要な役割を担う。
2025年4月、山梨県は全国で8番目となる「災害ボランティア・福祉支援センター」を設置。災害時の支援体制を強化するとともに、平時から災害に強い地域づくりにも取り組んでいる。
システム導入前の課題
近年は全国各地で自然災害が相次ぎ、災害ボランティアへの関心や支援活動は年々高まっている。一方で、山梨県では大規模災害の発生が比較的少ないのだが、県外から支援に訪れる人にとっては「どこに災害ボランティアセンターが開設されているのか」「どこへ向かえばよいのか」が分かりにくいという課題があった。
さらに、災害発生時には市町村社協から被害状況やボランティアセンターの設置状況が次々と報告される。その情報を県社協が取りまとめ、支援団体やボランティアへ迅速に発信する必要があるが、従来の運用では情報更新に時間を要していた。
「他県では、災害が起きてから臨時のWebサイトを立ち上げたり、Googleマップを使ってオリジナルの地図を作成するケースも少なくありません。しかし、ITツールの操作に慣れた職員ばかりではないため、災害時にゼロから情報発信の仕組みを整えるのは求められるスピード感を含めて現実的ではないと考えました」と根津様は振り返る。
また、山梨県は四方を山に囲まれた地形で、災害時の道路状況によっては現地を直接確認することが難しい可能性もある。そのため、県内27市町村の社協が共通のシステムで情報共有し、県社協がリアルタイムで状況を把握できる仕組みが求められていた。
kintoneをベースとしたWEBサイト連携の機能を導入した理由
災害時の情報共有と職員の負荷軽減を行うため、山梨県社協では既存のkintoneを活用した災害情報共有システムを構築した。
今回のプロジェクトでは、マニュアルズが「災害ボランティア・福祉支援センター」のWebサイトを構築し、ぐーどろはkintoneとWebサイトを連携するシステム連携部分の開発を担った。これにより、市町村社協がkintoneへ入力した被害状況やボランティアセンターの開設情報を、Webサイトへ自動で反映する仕組みを実現した。
Google Maps Platformを活用した地図表示機能も組み込み、利用者がマップ上で視覚的に状況を把握できる。システム導入にあたって山梨県社協が重視したのは、職員が新たに操作を覚えなくても直感的に使えるものにすることだった。
「ITツールに精通していない職員が多いからこそ、既存のkintoneを活かしてできる限り手間を省きたいと考えていました。kintoneを更新するとWebサイトに自動で反映される仕組みならば、刻々と状況が変化する災害時でも無理なく運用できると思いました」(根津様)
また、平時と災害時で表示する画面を切り替えたり、新着情報の更新を職員自身が行える仕組みを整えたことで、スピード感のある情報発信が可能となった。
システム導入前の提案段階では、複数案を提示するのではなく、運用を踏まえた最適な方法を明確に示した点も安心感につながったという。
根津様は「システムの専門知識がない私たちに対して、マニュアルズとぐーどろが『山梨県社協が求める機能を備えるなら、この方法が最適だ』と具体的かつ分かりやすく提案いただいたことで、迷わずプロジェクトを進めることができました」と評価する。
システム導入後の変化、使用した感想
市町村社協の担当者がkintoneへ必要事項を入力するだけで、その情報のうち必要な項目のみをWebサイトへセキュアに自動反映し、地図上で視覚的に確認できるようになったことで、情報発信のスピードは格段に向上した。
災害ボランティアセンターの開設状況やボランティアの受け入れ状況などが地図上のピンで表示され、リアルタイムに更新されるため、県内外のボランティアや支援団体が常に最新情報を確認できるようになり、スムーズにボランティア支援が現地に誘導される見込みである。
「職員が更新するのはkintoneだけで、Webサイトを触る必要がなく、入力ミスや更新漏れが防げるというメリットもあります。災害時は一刻を争う状況となるため、操作がシンプルであることは非常に重要だと感じています」と根津様は話す。
さらに今回のシステムは、災害時だけではなく平時から利用できる設計になっている点も特徴だ。
災害が発生してからWebサイトや地図を準備するのではなく、平常時からWebサイトを運用しながら、必要に応じて災害モードへ切り替えることが可能となっている。そのため、緊急時も落ち着いて情報発信を行える体制を構築した。
根津様は「災害対応は、平時の準備が何より重要です。災害が起きて初めてシステムを触るのではなく、普段から職員が使い慣れた状態にすることが重要です」と強調する。
今後の事業遂行においてシステムに期待すること
山梨県社協では、今回構築したkintoneおよびGoogle Maps Platformのシステムを災害時の情報発信の基盤として活用しながら、今後も継続的な改善を進めていく考えだ。
災害対応では、被害状況やボランティア募集情報だけでなく、支援物資のニーズや福祉支援要請、専門職の派遣要望など、時間の経過とともに状況が大きく変化する。今後は地図上でそれらの必要な情報が確認できる状態を目指している。
「実際に運用する中で、職員や市町村社協から寄せられる要望に沿って一つずつ改善を積み重ねながら、より使いやすいシステムへ育てていきたいと思います」と根津様は語った。
今回のシステム開発は、kintoneを中心に情報を一元管理し、そのデータをWebサイトや地図へ自動連携することで、災害時に必要な情報を「正確に・素早く・分かりやすく」届ける仕組みを実現した点に大きな価値がある。
平時から使い続けられる運用性と、災害時に迅速な情報共有を可能にするシステム基盤を両立した今回の事例は、自治体や社会福祉協議会をはじめ、公共性の高い組織におけるDXの好例と言えるだろう。
ぐーどろでは、今回の山梨県社会福祉協議会様の事例のように、kintoneとGoogle Maps Platformを活用した地図開発や、自治体向けDX支援、アジャイル方式での伴走型開発サービスを提供しています。その他にもkintone導入支援やカスタマイズ開発、地図と業務データを組み合わせたシステム活用のご提案にも対応していますので、ぜひお気軽にご相談ください。
■ ぐーどろの提供するkintone開発支援サービス紹介資料ダウンロード
参考情報
・Kマッププラグイン製品紹介ビデオ



