2025年11月10日

全社のデータ統合を目指して高価なERP(基幹システム)を導入したはずなのに、なぜか現場のExcel業務が一向になくならない…。 「このデータ入力、結局Excelで管理してERPに転記している」 「ERPのデータを見るためだけに、Excelに出力して加工・配布している」 こんなお悩みはありませんか?
実際、「ERPを導入した企業の半数以上が運用に満足していない」という調査結果もあります。基幹システムと現場の業務実態の間にギャップが生じ、期待したほどの効果が得られていないケースが多いのです。この記事では、なぜERPを導入してもExcel業務が残ってしまうのかを整理し、kintoneを「柔軟なフロントシステム」として活用する新たな解決策について、分かりやすく解説します。
目次
1.高価なERPでもExcel業務が減らない理由
「またExcel…」現場に残る非効率な手作業
会計・生産・ 販売・ 人事など、企業の根幹となる業務を統合管理するERPは、いわば「全体最適」のために作られたシステムです。しかし、現場の業務はもっと多岐にわたり、複雑です。
例えば、
・営業担当が日報や案件情報を入力する
・製造現場が日々の細かな実績を報告する
・マーケティング担当が顧客データを分析する
ERPはこうした「現場の個別業務」すべてに完璧に対応することは難しく、結果として「ERPの周辺業務」がExcelやスプレッドシート、紙といったアナログな方法で運用され続けてしまうのです。
原因は「高額ライセンス」と「複雑な画面」
Excel業務が残り続ける大きな理由は、大きく分けて2つあります。
①高額なライセンス費用の問題
ERPのライセンスは非常に高額なことが多く、全社員に配布するのは現実的ではありません。「データを見るだけ」「週に一度入力するだけ」といった現場社員のために費用をかけられず、結果として「ライセンスを持つ人がExcelに出力して配布する」という非効率な運用になってしまいます。
②複雑な画面(使い勝手)の問題
ERPは「全体最適」の思想で作られているため、入力画面の項目が非常に多かったり、操作が複雑だったりしがちです。現場の社員にとっては「自分が使う項目は全体の1割だけなのに…」と感じることも少なくありません。 その結果、「入力しやすいExcelに一度まとめてから、担当者がERPに転記する」といった二度手間が発生してしまうのです。
ERP本体の改修が「茨の道」である理由
「それなら、現場が使いやすいようにERP本体を改修(カスタマイズ)すれば良いのでは?」と考えるかもしれません。
しかし、これは「茨の道」になる可能性が高い選択です。ERPのような大規模システムは、一度カスタマイズ(アドオン開発)を加えると、その部分が「ブラックボックス化」しやすくなります。
その結果、
・将来のバージョンアップ時に、追加費用や膨大なテスト工数がかかる
・改修コストが高額になり、小さな改善ができない
・システムが複雑化しすぎて、誰も全体像を把握できなくなる
といった問題を引き起こしがちです。
2.解決策は「フロントシステム」という新発想
そこで私たちが提案したいのが、「ERP本体には手を加えず、kintoneを“柔軟なフロントシステム”として活用する」というアプローチです。
基幹(ERP)と現場(kintone)の役割分担
システムの役割を明確に分けることで、両者の強みを最大限に活かします。
| ERP(基幹システム) | 会計や販売などの重要データを「最終的に保管する堅牢な金庫」として利用する |
| kintone(フロントシステム) | 現場の社員が「日々、快適に入出力を行うための窓口」として利用する |
kintoneは、プログラミングの知識がなくても現場が使いやすい入力画面やデータベースを素早く作れるノーコードツールです。これをERPの「フロント(手前)」に置くことで、現場が使いやすく、変更にも柔軟に対応できる仕組みが整います。
システムを柔軟に保つ“つなぎ方”の工夫
ERPとkintoneをAPI(データ連携)でつなぐことで、システム間のつながりを最小限に抑えつつ、必要なデータだけをやり取りする構成にできます。
これは、お互いのシステムが過度に依存せず、それぞれ独立して動ける関係を築くということ。
その結果、ERP本体(金庫)には一切手を加えることなく、現場の要望に応じてkintone(窓口)側だけを素早く、低コストで改修・改善し続けられます。
ERPの「安定性・堅牢性」と、kintoneの「柔軟性・スピード感」、両方のメリットを活かせる仕組みです。
3.kintoneで解決!ERP周辺業務の具体的な改善策
では、具体的にkintoneをフロントシステムにすると、業務はどう変わるのでしょうか。
具体的な改善イメージを3つご紹介します。

改善①:入力は「現場専用のシンプル画面」で
ERPの複雑な入力画面はもう使いません。 現場(例:営業部)が必要な項目(例:顧客名、商談内容、金額)だけを配置した、シンプルな入力画面をkintoneで作成できます。 営業担当がその画面にデータを入力すると、API連携によって自動的にERPの必要な項目に登録されます。
| 例>「部門」「勘定科目」などについて、自身がよく使用するもののみがセットされた経費入力画面を作成 |
これにより、現場は入力のストレスから解放され、入力ミスも減少。
データはリアルタイムでERPに反映されます。。
改善②:「見るだけ」の閲覧はkintoneで完結
高額なERPライセンスを追加購入する必要はありません。 ERP側から必要なデータ(例:顧客マスタ、商品マスタ、在庫情報、売上実績など)だけを、API連携で定期的にkintoneに連携します。
現場の社員は、使い慣れたkintone上で必要な情報をいつでも検索・閲覧できます。
さらに、kintone上でデータにコメントを付けたり、グラフ化したり、関連するコミュニケーションを集約したりと、ERP単体では難しかった「データの活用」も実現します。
改善③:API連携のハードルはもう高くない
「とはいえ、ERPとkintoneのAPI連携開発は大変なのでは?」とご心配かもしれません。
確かに以前は専門知識が必要でしたが、現在はkintoneと各種ERPをつなぐための連携サービス(ETLツール)やプラグインが非常に充実しています。(例:CData Connect Cloud、ASTERIA Warp、DataSpider Cloudなど)
これらを活用すれば、専門的な開発なしでデータ連携を実現できるケースも増えており、システム連携のハードルは格段に下がっているのです。
kintone(キントーン)とは?料金プランやできることを初心者向けに徹底解説
4.活用例:ERPデータを「地図」で見える化する方法
kintoneをフロントシステムとして導入し、ERPのデータが集まってくると、さらなる活用の道が拓けます。
その一つが「地図との連携」です。
なぜ「地図連携」が有効なのか
ERPに蓄積された顧客マスタや案件データは、通常「リスト(一覧表)」の形式で管理されています。しかし、これらのデータが持つ「住所」という位置情報を活用しきれていないケースがほとんどです。
地図連携が有効なのは、この「位置」という新たな切り口を与え、データを空間的に可視化できる点です。リストで眺めるだけでは気づけない「エリアごとの傾向」や「データの地理的な偏り」を直感的に把握することが、次の戦略的な一手につながります。
顧客データが地図になると営業が変わる
ERPに蓄積されている「顧客マスタの住所」や「店舗の売上実績」といったデータをkintoneに連携。
そのデータを地図上にマッピングすると、どうなるでしょうか。
・顧客が集中しているエリア
・担当エリア内の未訪問顧客
・売上が好調or不調な店舗の立地
これらが一目で「見える化」されます。これにより、営業の訪問計画が効率化されたり、エリアマーケティングの精度が上がったりと、データ活用の幅が大きく広がります。

kintone地図連携「Kマッププラグイン」のご紹介
ぐーどろが提供する「Kマッププラグイン」は、まさにこのkintoneと地図の連携を簡単・低コストで実現するプラグインです。 kintoneアプリ内の住所や位置情報データを、直感的な操作でGoogleマップ上に表示し、色分けや絞り込み、ヒートマップ表示などが可能です。

例えば、営業案件を地図上にプロットすることで、「どの地域で売上が伸びているのか」「サポート対応が集中している拠点はどこか」など、誰でも直感的に理解できる形で情報を共有できます。
ERPのデータをkintoneに集約し、「Kマッププラグイン」で可視化することで、データは単なる「数字の羅列」から、現場の行動を導く「戦略情報」へと進化。さらに、データを地図上で活用することで、現場の意思決定がスピーディーになり、次のアクションにも直結します。
▼Kマッププラグインをより詳しく知りたい方はこちら
👉[Kマッププラグイン(Googleマップ連携)製品説明資料ダウンロード]
5.まとめ:Excel業務を見直すことから始めよう
大切なのは「現場が使い続けられる」こと
ERPのような大規模システムは、導入して終わりではありません。しかし、高コストでブラックボックス化したシステムは、現場の小さな変化に対応できず、次第に使われなくなり、Excel業務が復活してしまいます。
大切なのは、完璧なシステムを目指すことよりも、「現場が本当に使い続けられる」柔軟な仕組みを作ることです。
そのExcel作業、kintoneなら解決できます
ERPの導入で満足のいく成果が得られていない、Excel業務が減らないとお悩みなら、一度「ERPの周辺業務」を見直してみませんか?
まずは、あなたの部署で「どの業務がExcelで行われているか」を棚卸ししてみてください。 その非効率な入力、転記、集計作業は、kintoneを「柔軟なフロントシステム」として活用することで、もっとシンプルに、低コストで解決できるかもしれません。
・🕺ダウンロードなしですぐに試せるオンラインデモサイト(ID/Pass: tokyo/tokyo)
・Kマッププラグイン説明ビデオ





