kintone・地図開発支援事例:下呂市役所様

2026年05月31日


下呂市役所では、災害対応における情報共有と意志決定の迅速化を目的に、kintoneとGoogle Maps Platformを活用した地図連携システムを導入した。

従来はExcelと共有フォルダによる管理を行っていたが、災害情報や写真データを地図上で一元的に管理できる仕組みへと刷新。現在は災害対応だけでなく、災害物資の備蓄管理や市内子ども園との情報共有など、全庁的なDX推進にもkintoneを活用している。

また、下呂市とぐーどろは2026年2月に「災害対策および行政DX推進に向けたGoogle Maps Platform とkintone活用に関する連携協定」を結び、行政の高度化に向けて共に歩みを進めている。今回は、危機管理課 小林様、総務デジタル課 デジタル対策監(最高技術責任者)熊﨑様に、システム導入の背景やkintoneを活用した自治体DXの取り組みについてお話を伺った。

 

◆導入前の課題や背景

災害時の情報共有や庁舎間連携を迅速に行う必要があったが、Excelと共有フォルダによる情報管理に限界があった

◆導入の決め手

自治体の実情に合わせた柔軟な支援体制があり、比較的安価で使いやすい機能が開発でき、システムの費用対効果が高かったことも導入を後押しした

◆導入後に得られた効果

災害情報を地図上に可視化したことで、どこで何が起きているかがすぐ把握できるようになり、迅速な災害対応につながっている

中山間地域ならではの災害対策への課題を抱える下呂市

岐阜県下呂市は、日本有数の温泉地「下呂温泉」を有する観光都市である一方、市域のおよそ91%を森林が占める中山間地域でもある。市域面積は851.21平方キロメートルと広大で、市内の標高差は2,800mにも及ぶ。

また、河川沿いの平坦地や緩やかな斜面に住宅・商業地・農地が集中している点も特徴で、土砂災害や豪雨災害への備えが求められる地域だ。広大な市域のため、行政機能も分庁型をとっており、下呂市役所の本庁舎を含めて行政施設が市内10か所に分散している。このような地理的な条件から、平時・有事ともに庁舎間の情報共有や迅速な意思決定は市政運営において非常に重要なテーマだ。

その中で下呂市では、近年積極的にDX推進へ取り組んできた。Google Workspaceやkintoneを導入し、クラウドでの庁舎間データ連携をはじめとした、デジタルを活用した業務改善を進めている。これにより、日頃の業務効率化はもちろん、データへアクセスする際の利便性も向上し、職員の職場定着にもプラスの成果が表れ始めている。

システム導入前の課題

下呂市の危機管理課では、これまで災害時の情報共有をサーバー内に格納したExcelや共有フォルダで行っていた。各部署が時系列でExcelへ被害状況を書き込み、写真データは別途フォルダへ保存する運用のため、どの情報にどの写真が対応しているのかが分かりづらい状態だった。

「Excelでは共同編集ができず、リアルタイムでの情報確認に課題がありました。加えて、写真データもどんどん増えてしまい、情報をまとめるのも大変でした」と熊﨑様は話す。また、災害発生場所を地図上で確認できないことも大きな課題だった。例えば「道路が冠水している」「土砂崩れが起きている」といった情報がExcelに入力されても、場所の把握をするには別途地図で住所を検索する必要がある。複数の被害が同時に発生した場合は、全体像を瞬時に把握することが難しかった。

加えて、下呂市は災害リスクが高い地域でもある。過去には複数の豪雨災害が発生しており、「どこで何が起きているか」を迅速に共有できる仕組みづくりは喫緊の課題となっていた。

kintoneをベースとするシステムを導入した理由

 

下呂市では既存のkintoneに、Google Maps Platformを組み合わせた地図連携機能を追加する形でシステムを構築した。導入の決め手は、日常的に職員も使い慣れているGoogleのツールやGoogleマップの使い勝手をそのまま活用できることと、コスト面でのハードルの低さだった。

「すでに庁内でGoogle Workspaceを使い始めており、職員もGoogleマップの操作に馴染みがあったことから、kintoneと地図を連携したシステムの導入を検討していました。そんな中でぐーどろの存在を知って問い合わせたところ、親身に相談に乗ってくださり、提案までのスピードが迅速だったことも導入を後押ししました」と小林様は振り返る。

一般的に地図専用アプリを導入する際は、初期費用に数百万円がかかる場合もある。しかし、kintoneをベースにすればランニングコストも含めてリーズナブルな価格で運用でき、必要な機能がそろっている点も決め手となった。

そして今回のプロジェクトの大きな特徴は、開発のみの委託ではなく、ぐーどろと下呂市が連携協定を締結した点だ。今後も継続的にDX推進を相談できる関係性が構築されたことで、「下呂市が新しい取り組みにチャレンジしやすい環境ができた」と熊﨑様は語る。

システム導入後の変化、使用した感想

 

システム導入後、危機管理課の業務で最も大きく変わったのは、災害情報を地図上で可視化できるようになったことだ。被害状況を入力するとGoogleマップ上にピンが表示され、複数の被害箇所を同時に確認できる。「どこでどのような災害が起きているのかが視覚的に分かるのは非常に便利です。普段から使い慣れているGoogleマップということもあり、職員も受け入れやすく直感的に使用できています」と小林様は説明する。

災害発生場所の情報をデータベースに登録する方法はもちろん、地図上をクリックしてピンを立てることで位置情報を登録したり、情報の修正が簡単にできる点もメリットだ。加えて、スマートフォンからも同様の操作ができることも現場の利便性向上につながっている。

現在は本格運用が始まったばかりだが、今後の豪雨や風水害が発生した際の避難所開設や道路の迂回に関する判断など、災害対応の初動を支援するツールとしての活用が期待される。

今後の自治体事業の遂行においてシステムに期待すること

下呂市では危機管理課だけでなく、子ども家庭課における民間子ども園との情報共有や、総務デジタル課における事業の進捗管理にもkintoneを活用している。今後は全庁職員向けにkintone研修を行い、さらなる業務効率化を目指す。また、地図連携による業務拡張も視野に入れており、熊の出没情報の管理などにも地図を活用することを検討中だ。

熊﨑様は「自治体DXで重要なのは、ハイスペックなシステムを導入することではなく、誰でも使える環境を整えることだ」と説明する。「日常業務で真に役立つシステムを導入するには、高価で複雑なものよりも、必要な機能を柔軟に組み合わせて現場が使いやすい仕組みを作ることが大切だと思っています。その点、kintoneはシステム運用後も柔軟に修正でき、地図機能との組み合わせも可能なため、自治体業務との親和性が非常に高いと感じます」(熊﨑様)

また、自治体DXを進める上では、IT人材の不足という課題も避けて通れない。DX担当者に熱意があっても、どう進めていいのかが分からない地方自治体も多い。そこで、下呂市ではGoogle Workspaceを活用する自治体同士の横の連携づくりや、他自治体への情報共有を積極的に行っている。

「将来的には、岐阜県内でGoogle Workspaceを使う自治体を増やすため、下呂市が先行事例や良き相談相手となることを目指しています」と熊﨑様。

下呂市のDX推進の取り組みは、単なる災害対応システムの導入という枠組みを超えて、職員の誰もが使いやすいデジタル基盤を整備し、自治体運営そのものを変化させていく挑戦と言えるだろう。

※各種活用が進んでいる業務領域

 


ぐーどろでは、今回の下呂市様の事例のように、kintoneとGoogle Maps Platformを活用した地図開発や、自治体向けDX支援、アジャイル方式での伴走型開発サービスを提供しています。その他にもkintone導入支援やカスタマイズ開発、地図と業務データを組み合わせたシステム活用のご提案にも対応していますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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参考情報

下呂市役所HP

 

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